
妊娠初期には、「体のだるさ」「眠気」「吐気」などの症状が現れます。
初期に起こる症状は生理前に起こる症状とよく似ていますが、頻尿や高温期の継続は、特有の症状です。
また、妊娠初期に現れる症状には個人差があり、人によって経験する症状は異なります。

吐き気・胃もたれ・眠気などの症状は、多くの女性が経験する妊娠初期症状です。
一方で、腰痛・むくみ・肌荒れ・口内炎などの症状を経験している方は少数で、中には経験しない方もいます。

チェックリストに該当する症状が1つでもあり、生理が7日以上遅れている場合は、妊娠の可能性があります。
生理予定日を1~2週間過ぎても出血がなければ、妊娠検査薬を使用しましょう。
妊娠初期症状はいつから?性行為の2週間後からが目安
妊娠初期症状は、着床が完了してすぐのタイミングである、性行為から2〜3週間の時期に始まるのが一般的です。
そして、胎盤が完成する妊娠15週頃まで続きます。

「着床」とは、受精卵が、赤ちゃんのベッドとなる組織「子宮内膜」にもぐり込んで根をはることです。
女性の体内で着床が完了することを、「妊娠」と呼びます。
着床すると、妊娠の継続に必要なホルモンが多量分泌されるため、ホルモンバランスが乱れて、さまざまな不調(妊娠初期症状)が出てくるのです。
【17の妊娠初期症状】生理が遅れていたら妊娠の可能性をセルフチェック!
妊娠初期に現れる症状は、つわり(吐き気や気持ち悪さ)・頭痛・熱っぽさ・おりものの変化などさまざまです。
症状が1つしか当てはまらない場合でも、生理が遅れているようなら、妊娠の可能性が考えられます。
「妊娠かも?」と思ったら、生理予定日の1〜2週間後に、妊娠検査薬を使って判定を確認しましょう。
胃もたれ、吐き気
妊娠初期には、胃もたれや吐き気など「つわり」と呼ばれる症状が現れます。
つわりは、妊娠5~6週前後からみられる、吐き気・気持ち悪さ・嘔吐などの症状を総称したものです。
つわりの程度には個人差があり、症状が軽くほとんど感じない人もいれば、食事や水分が取れないなど重症な経過を辿る人もいます。

妊娠した女性の6割以上がつわりを経験していたという調査データもあるほど、つわりは妊娠初期によくある症状です。
食欲増進、減退
妊娠初期には、ホルモンバランスの乱れやつわりが原因で、食欲が増進したり減退したりします。
「つわり」と聞くと、吐き気により食事量が減ったり、食べても吐いてしまう「吐きづわり」をイメージする方が多いでしょう。
しかし、中には「食べづわり」により食事量が増える方もいます。
つわりの種類 | 特徴 |
---|---|
食べづわり | 常に何かを食べていないと 気持ち悪い |
吐きづわり | 食べたらすぐに 吐いてしまう |
よだれづわり | 唾液で気持ち悪い 唾液を飲み込めない |
また、妊娠すると「同じものしか食べられない」「急に嫌いだったものが食べられるようになった」など、食の好みに変化が生じる場合もあります。
頭痛
妊娠初期には、「偏頭痛」「緊張性頭痛」と呼ばれる症状を経験する人もいます。
偏頭痛は、ズキンとした痛みや、体の揺れに伴い悪化する点が特徴的です。
緊張性頭痛では、首や頭が重く、締め付けられて圧迫されるような痛みを感じます。

偏頭痛と緊張性頭痛では、それぞれ痛みを起こす原因が違うため、対処法も異なります。
偏頭痛を緩和したい場合は、冷却シートで頭を冷やしましょう。
緊張性頭痛は、体を温めて血流が良くなると、楽になるケースが多いです。
熱っぽい、倦怠感
妊娠すると「高温期」と呼ばれる体温が高い期間が続くため、熱っぽさや体のだるさ、ほてりを感じることがあります。
中には、咳や喉の痛みなど風邪を引いたときのような症状が出る方も。
高温期に体温が上がるのは、妊娠維持のために分泌されるホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の影響です。

黄体ホルモンには体温をあげる作用があるため、妊娠すると熱っぽさや風邪のような症状が出てくるのです。
なお、高温期が原因の倦怠感や疲れやすさは、つわりにより栄養補給が不十分な状態が続くと、長引きやすい傾向があります。
少量の出血
妊娠初期には、「着床出血」と呼ばれる少量の出血が見られるケースがあります。
着床出血は、受精卵が着床する際に、子宮内膜の血管を傷つけることが原因で起こる出血です。
生理の出血と似ていることがあるため、中には生理と勘違いしてしまう方もいます。
- 普段よりも血の色が薄い
- 量が少ない
- 出血期間が1〜2日と短い
- 生理予定日の近くで起こりやすい
着床出血と生理の出血では、血の量や出血期間に違いがあります。
生理よりも出血の期間が短く、薄い色の血液であれば着床出血の可能性が高いです。
出血の種類が判断できない場合は、生理予定日の1〜2週間後に、検査薬を使って妊娠しているのかを確認してみましょう。
おりものが水っぽい、量が多い
妊娠した際のおりものは、普段のネバネバしたおりものに比べ、サラサラと水っぽく、量が多くなる特徴があります。
人によっては、おりものの色が変わったり、においが強くなったりするケースも。
おりものの量が増えるのは、膣の中を清潔に保ち、子宮を守るための体の反応です。
- 膣の中を清潔に保つ
- 粘膜を守る
- 膣への菌の侵入を防ぐ
- 膣内の汚れを排出する
お腹の痛み、張り
妊娠初期には、生理痛のようなお腹の痛みや、腹部の張りを感じることがあります。
お腹の痛みや張りを感じるのは、子宮が大きくなったり、ホルモン変化により腸の動きが弱まったりするためです。
また、妊娠すると子宮を支えている靭帯(じんたい)が伸びるため、動いた際に「ピキッ」とした腹部の痛みが生じるケースもあります。
胸の張り
妊娠初期には、多くの女性が胸の張りを感じます。
胸が張るだけでなく、「胸が張って痛い」「乳首が痛い」「乳首が痒い」などの症状が起こる方も。
胸の張りや違和感が起こるのは、女性ホルモンの分泌が活発になり、母乳を作るための乳腺や乳管と呼ばれる組織が活性化されるためです。
ホルモンの変化に体が慣れてくると、胸の張りや違和感は徐々に落ち着きます。
頻尿
妊娠初期には、トイレへ行く回数が増える「頻尿」に悩まされることがあります。
頻尿の原因は、プロゲステロン(黄体ホルモン)が膀胱の筋肉を緩めることや、体の中の水分量が増え尿がたくさん作られるようになるため。
さらに、子宮と膀胱は近い場所にあるため、子宮が大きくなり膀胱を圧迫することも原因の1つです。
便秘、下痢
妊娠初期に現れる症状の1つに、便秘や下痢が挙げられます。
便秘や下痢を引き起こすのは、妊娠による体調変化やストレスにより、自律神経が乱れるためです。
自律神経は、胃腸の動きを弱めたり活性化させたりするので、便秘や下痢が引き起こされます。
情緒不安定、イラつき
妊娠初期には、イライラしたり涙もろくなったり、落ち込みやすくなったりなど、精神的に不安定になる方もいます。
精神的に不安定になるのは、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加するためです。
生理前に情緒不安定になるのも、妊娠初期症状と同様に、プロゲステロンの分泌量が増えるためだと言われています。
肌荒れ、口内炎
妊娠中には、女性ホルモンの変化やストレス、睡眠不足が原因で、肌が荒れてしまう人がいます。
また、つわりにより十分な栄養が摂れず、ビタミン不足すると、口内炎になることも。
つわりで食事が思うように摂れない場合には、サプリメントでビタミンやミネラルを補うのがおすすめです。
むくみ
「むくみ」は、妊娠初期に起こる症状の1つです。
赤ちゃんに栄養を届けるため血液量が増えたり、子宮が大きくなって血管を圧迫し血流を滞らせたりすることが原因で生じます。
塩分の多い食事を摂ると悪化しやすいため、むくみがひどいときには、しょっぱいものを控えましょう。
眠気
妊娠初期には、しっかり睡眠をとっていても一日中眠気が続くことがあります。
眠気の原因は、妊娠中や生理中に分泌量が増えるホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。
プロゲステロンは、分解される過程で「眠気を引き起こす物質」を産生するため、妊娠中や生理中には強い眠気に襲われます。
嗅覚過敏
妊娠初期には、「嗅覚過敏」と呼ばれる、においに敏感になる症状が出ることもあります。
「これまで好きだった柔軟剤や石鹸の香りが苦手になる」「ご飯のにおいで吐き気を催す」など、今まで平気だったにおいを不快に思うことも。
嗅覚過敏がひどい場合は、ミント系や柑橘系のアロマオイルを使用すると、吐き気や気持ち悪さが落ち着きますよ。
めまい、立ちくらみ
妊娠初期には、低血圧や貧血が原因で、めまい・立ちくらみが起こる方もいます。
低血圧や貧血が起こるのは、赤ちゃんの発育のために、子宮へ多量に血液が送られるから。
また、妊娠によるホルモンバランスの乱れや、つわりによる水分不足で起こる脱水なども、めまい・立ちくらみが起こる原因の1つです。
腰痛
妊娠初期には、腹痛や頭痛だけでなく、腰痛(骨盤の痛み)に悩まされることもあります。
腰の痛みが生じるのは、大きくなる子宮を支えるために、リラキシンという関節を緩めるホルモンが分泌され、骨盤が広がるからです。
骨盤が広がる際には、骨が移動したり靭帯(じんたい)が伸びたりするため、腰や骨盤付近にズキズキとした痛みを感じます。
妊娠初期症状と生理前症状の違いは?頻尿や基礎体温に注目
妊娠初期症状として多く見られ、生理前には見られない症状には、「頻尿」と「基礎体温の高温期が続く状態」が挙げられます。
生理前の場合は、生理予定日になると基礎体温が下がる「低温期」に入るのが一般的です。
一方で、妊娠している場合には生理予定日を過ぎても基礎体温が高い「高温期」が続きます。

妊娠初期には、だるさや腹痛など、生理前と似た症状が出ることも多いです。
頻尿や基礎体温以外の症状で見分けるのは難しく、症状の違いがわからない・違いはなかったと答える妊娠経験者の女性は少なくありません。
アンケート調査では、約4割の方が、違いがわからない・違いはなかったと回答しています。

症状だけで妊娠を見分けるのは難しいからこそ、「妊娠かも?」と思ったら、生理予定日の1週間後に妊娠検査薬を使いましょう。
【体験談】みんなの妊娠初期症状と乗り越え方を紹介
SNSやYahoo!知恵袋には、妊娠初期症状に関する投稿が数多く寄せられています。
妊娠初期症状の体験談
妊娠超初期症状まとめ(ワタシの場合)
①基礎体温が36.9〜37.1の日が続く 初めは風邪かと思ったけど2週間くらい続いておかしいってなる。基礎体温はチェックしてたほうがいいよ
②においに敏感になる 吐き気をもよおすことはなかったけど、生魚のにおいがやたらと鼻につくようになった
③食欲の低下
引用:X@kujyukataageko
行為から4週間後くらいから出ました。 胃もたれみたいな気持ち悪さからでした! どんなに早くても行為から2週間以降、多くは3-4週間以降です。
引用:Yahoo!知恵袋
私の場合生理予定日の5日前くらいから体のだるさ、軽い頭痛が続きました。それ以外は何もなかったです
引用:Yahoo!知恵袋
生理予定日前の超初期症状はほぼなし! 妊娠した時の基礎体温も載せときます
引用:X@ppp_cos
移植後とくに初期症状ないのが不安で病院に伝えたら、「初期症状出るのは3分の1くらい、3分の2の人たちは初期症状なしで妊娠しますよ」って言ってもらえてメンタル安定
もし初期症状なくて不安な人、大丈夫だから前向きな気持ちでいましょうね
引用:X@megu_lily
体験談からは、気持ち悪さやお腹の違和感、頭痛など、人それぞれ症状の現れ方に違いがあることがわかります。
また症状の現れる時期にも個人差があり、生理前から症状が出る女性もいれば、生理予定日を過ぎてから症状が出る場合も。
また、中には「妊娠していたが症状は出なかった」と投稿する方もいました。
妊娠初期症状がない場合もある
妊娠しても、つわりやおなかの張りなどの症状が全く出ない人もいます。
妊娠経験のある女性に向けたアンケートでは、1割の方が「妊娠初期に症状がなかった」と答えました。

普段から生理前に体調を崩していたり、もともと体調を崩しにくい体質の方は、妊娠初期症状が現れない・気付きにくいこともあります。
症状が出なくても妊娠検査薬で陽性判定が出ていれば、妊娠している可能性が高いです。
つらい妊娠初期症状はアセトアミノフェン配合の鎮痛剤やビタミンB6、ミント系タブレットで乗り切る
つらい妊娠初期症状は、頭痛薬やサプリメントなどで緩和しましょう。
頭痛には痛み止めの服用、つわりにはビタミンB6の摂取が有効※です。
頭痛 | アセトアミノフェン配合の 鎮痛剤を飲む |
---|---|
腹痛/腰痛 | 痛む場所を温める |
肌荒れ/口内炎 | ビタミン剤を飲む |
嗅覚過敏/つわり ※吐き気や気持ち悪さ | ビタミンB6を摂る ミントの香りを嗅ぐ |
むくみ | 塩分を控える |
※参考:日本産婦人科診療ガイドライン―産科編2020
ただし、中には妊娠中に服用ができない薬や使用に注意したいサプリメントがあります。
たとえば、非ステロイド系消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)は、胎児に影響を及ぼす可能性が報告されているので、使用は避けましょう。
頭痛がつらい場合、アセトアミノフェン配合の痛み止め(カロナール/タイレノールなど)であれば、胎児に影響なく安全に使用できます。
妊娠検査薬のタイミングは?生理予定日1週間後からが最適
妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後から使用できます。
タイミングが早すぎると、妊娠していても陽性判定が出ないため、検査は時期を待って行いましょう。
生理予定日がわからない場合は、性行為があった日の3週間以降に検査を行ってください。

病院を受診するタイミングは生理予定日から1〜2週間後
妊娠検査薬で妊娠が判明した場合、生理予定日の1~2週間後に産婦人科を受診しましょう。
生理予定日から1〜2週間後は、妊娠5〜6週目にあたり、赤ちゃんの心拍が確認できる時期です。
あまりに早い時期に受診すると、まだ赤ちゃんを確認できず、後日受診を指示される場合もあります。
望まない妊娠の場合は早めに産婦人科へ受診を
妊娠の継続を望んでいない場合には、妊娠21週6日※までに手術をする必要があります。
手術の時期は母体保護法という法律で定められており、妊娠22週以降の中絶は、どんな理由があっても受けられません。
なお、手術の時期は早いほど心身への負担がかかりにくく、11週目までの実施が推奨されています。
※最後の生理開始日を0週0日として計算
妊娠がわかったら注意することリスト
妊娠が分かったら、お酒やたばこは控えましょう。
また、内服薬は赤ちゃんの成長に影響を与える可能性があるため、自己判断で服用せず、医師に必ず相談してください。
- 禁酒・禁煙をしましょう
- 薬を飲む場合は医師に相談しましょう
- 激しい運動は避けましょう
- 感染症に注意しましょう
- 積極的に葉酸を摂取しましょう
また、あまり知られていませんが、妊娠が分かったら積極的に葉酸を摂ることが必要とされています。
葉酸が必要なのは、生まれつきの障害の1つ「神経管閉鎖障害」のリスクを低減する作用が期待できるためです。
食事のみでは1日の摂取推奨量を補いきれない場合が多いため、厚生労働省は葉酸サプリの摂取を推奨していますよ。
【Q&A】妊娠初期症状や妊娠したら出る症状に関するよくある疑問を紹介
【まとめ】眠気・吐き気・お腹の張りなどの妊娠初期症状で妊娠の可能性をチェック
妊娠初期には、女性ホルモンの働きにより、眠気・吐き気・お腹の張りなど、さまざまな症状が起こります。
症状が1つでもあり、生理が遅れている場合には、妊娠の可能性が高いです。
生理が7日以上遅れ、妊娠特有の症状がある場合には、妊娠検査薬を使用してみましょう。
- 胃もたれ、吐き気
- 食欲増進、減退
- 頭痛
- 熱っぽい、倦怠感
- 少量の出血
- おりものが水っぽい、量が多い
- お腹の痛み、張り
- 胸の張り
- 頻尿
- 便秘、下痢
- 情緒不安定、イラつき
- 肌荒れ、口内炎
- むくみ
- 眠気
- 嗅覚過敏
- めまい、立ちくらみ
- 腰痛